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インドネシア:2005年ポリオ発生

2000年・京都宣言(東南アジアにおけるポリオ根絶宣言)とその後

1997年、カンボジアでのポリオ症例が最終報告となり、WHOは2000年の京都会議でアジア太平洋の37カ国・地域でポリオを根絶したとする「京都宣言」を表明しました。以後東南アジアでは、ポリオ予防接種率が低下したため、充分な免疫を持たない小児比率が増加していきます。治安・政情の不安定な地域・事情もあり、政府・WHOも、ポリオ接種率低下に関しては、具体的な対策を示すことできませんでした。 

病原体には、遠慮・躊躇はありません。2005年5月、免疫的に脆弱なインドネシアをポリオウイルスが見逃すことはなく、心配されていたポリオ患者が発症しました。その後わずか4ヶ月で、インドネシアに226名の患者発生を認めています。

現在のインドネシアは、ポリオ予防接種を強化できる体制にありません。外国からのテロ組織土着化によって、インドネシアにおける有効な対策は不可能な状況です。拡大中のポリオ征圧は 極めて困難であり、今後数年間はポリオが拡大することが予想されます。

日本を含め、東・東南アジアに、ポリオが輸出される可能性が、非常に高まっています。ポリオ発生をインドネシアに封じ込むためにも、アジア各地域のポリオ接種率を維持する必要があります。日本では、根絶されたポリオですが、ワクチン接種は重要な予防対策です。

ふたばクリニック 広瀬久人 (2005.08.26)