過呼吸への対応/当院の場合

過呼吸への対応・当院の場合


過呼吸は、パニックとも呼ばれ、突然発症する不安発作と空気飢餓感が特徴です。
パニック環境に対する刷り込みがあり、前回発症と似た状況が再発の誘因となる傾向にあります。
当院では、1:ストロー飲水法、2:炭酸飲料をお勧めしています。

1:過呼吸
2:心理的不安の増幅
3:アルカローシス
4:ウォッシュアウト阻止
5:PACO2増量

1:過呼吸

過呼吸を行うと、血中二酸化炭素(CO2)が、過度にウォッシュアウト(強制排気)されます。
血中CO2分圧低下により、血液はアルカローシスに偏ります。
急激なアルカローシスは、以下を誘発します。

・手指・口唇・顔面の知覚異常
・有痛性筋痙攣:こむら返り、手クランプ
・視野障害・視野狭窄
・動機
・不安発作

2:心理的不安の増幅

過呼吸発作はパニックの1種で、不安発作が発症起点です。
1回でも過呼吸を経験してしまうと、「再発の恐怖心」が再発を誘導します。
また、「過呼吸に由来するアルカローシス」も不安を助長するため、不安のスパイラルが完成します。

3:アルカローシス

平常時の肺胞内CO2分圧(PACO2)は、40mmHgです。
空気のCO2分圧は、0.3mmHg(乾燥空気)であり、ほぼ0mmHgです。
過呼吸により、肺胞内気が外気(空気)でウォッシュアウトされると、急激に肺胞内CO2分圧(PACO2)は低下し、アルカローシスを続発します。
過呼吸に伴うアルカローシスの原因は、PACO2の低下です。

PACO2を増やせば、アルカローシスは改善できます。
対処方法は、「ウォッシュアウト阻止」または「PACO2増量」のどちらかです。

4:ウォッシュアウト阻止

本人は喘いでいるため、呼吸数を減らすことなど困難です。
パニックなので仕方ありません。
空気飢餓感が強いため、本人の意思による呼吸抑制は不可能です。

当院では、ストローでの飲水を推奨しています。
過呼吸発作を起こしたときは、極めて強い口渇感も伴います。
飲水衝動が亢進するため、『ストロー飲水』は受け入れやすいようです。
ストローを口から離さず飲水し、鼻呼吸を併用して、空気飢餓感が落ち着くまで、ストローを咥えてもらいます。

過呼吸の不安がある人は、「ストロー付きのパック入り日本茶」を携帯してもらいます。
不安がよぎり、パニックを起こしそうになった時に、ストローを利用してお茶を飲んでもらうと案外落ち着きます。
さらに重要なことは、『ストロー飲水でのパニック予防体験』が、次の予防の布石になります。

5:PACO2増量

炭酸飲料を飲むと、アルカローシスは改善します。

動脈血中のCO2分圧(PaCO2)は、PACO2と同じく、正常域は40mmHgです。
PaCO2 40mmHgをCO2Mol濃度に換算すると、20mMol/L となります。

コーラの炭酸含有量は3.5GVで、コーラ1LにCO2 3.5Lが溶存しています。
(注:1GVとは、1Lの液体に1LのCO2が溶存する単位)
CO2Mol濃度換算すると、コーラの二酸化炭素濃度は、160mMol/L です。

コーラは、動脈血の8倍!のCO2を含みます。
炭酸飲料中のCO2は速やかに消化管から吸収され、血流に乗って肺に運ばれます。
200mL程度のコーラ飲用で、短時間にアルカローシスの改善機転を得ることができます。

コーラのCO2含有量はビールよりも高く、炭酸飲料の中でも多い方です。
(ビール:2.5~3.0GV、コカ・コーラ:3.5GV、ペプシストロング:5.5GV)
コーラの苦手な人は、サイダーでも、炭酸水でも構いません。
ただし、『過呼吸時に炭酸飲料を速やかに購入すること』は現実的ではなく、応用できる状況が限定されます。


ふたばクリニック 広瀬久人(2026.03.06)