トップ コラム 検診・検査 予防接種 自費処方

ふたばクリニック HomePage > コラム 
> ホウレン草(シュウ酸)と尿路系結石

ホウレン草(シュウ酸)と尿路系結石

シュウ酸の生化学

シュウ酸は、人体にとって、栄養素というより、老廃物です。
ヒトの体内で、アスコルビン酸・ブルコール酸などの有機酸が代謝され、最終代謝産物の一つとしてシュウ酸が生成されます。
(アスコルビン酸の過剰内服とシュウ酸の関係は、末尾・追記1参照)
シュウ酸のヒト・人体における合成量は微量です。
病的な問題・尿管結石症を起こすようなシュウ酸過多は、食物が原因です。

食品とシュウ酸

動物性食品は、ほとんどシュウ酸を含みません。
シュウ酸ナトリウム(可溶性蓚酸)は、野菜に含まれています。
とくに、ホウレン草は、際立ってシュウ酸ナトリウムを多量に含みます。

以下のサイトに、シュウ酸含有量が提示されています。

参照:飲食物の蓚酸含有量について/医薬品情報21:pdf
http://www.drugsinfo.jp/2008/01/07-223252

一部抜粋しますと、以下の表のようになります。

(可食部100gにおける、可溶性蓚酸 含有量g)

アカザ、ツルナ、タケノコを生食することは、まずありません。
(筍水煮では、シュウ酸含有量は極端に減少しています。)

尿路結石の原因食材として重要な野菜は、ホウレン草です。

食材の重量比では、キャベツなどの他の食材に比べて、ホウレン草はがシュウ酸含有量がダントツのトップです。
キャベツ・レタスや、ブロッコリー・カリフラワーにも含まれていますが、通常の摂食量において健康上の支障はありません。
お茶(抹茶・煎茶)に含まれるシュウ酸量は、乾燥重量比では多いのですが、お茶の総摂取量が微量であり、日常生活では問題になりません。

シュウ酸ナトリウム と シュウ酸カルシウム

シュウ酸成分は、『シュウ酸ナトリウム』と『シュウ酸カルシウム』がメインです。
この章では、シュウ酸ナトリウムによる尿路系結石症に関して説明していきます。
シュウ酸カルシウムはトロロ芋に含まれ、針状結晶による皮膚炎が問題になりますが、消化管で吸収されにくく尿路結石の原因とはなりません。末尾・追記2参照

摂取されたシュウ酸の体内動態

ホウレン草は、シュウ酸ナトリウムを多く含む食材です。
シュウ酸ナトリウムは水溶性で、消化吸収された後、血液に溶存し、血流の載って全身を循環します。
シュウ酸に栄養素的な意味はありません。
もともと、シュウ酸は最終代謝産物であり、たべても栄養素として利用されることはありません。

消化吸収過程で、シュウ酸はナトリウムと電離します。
血液・体液・尿に溶存しているシュウ酸は、イオン状態で溶存しています。
最終的に、シュウ酸は、腎・糸球体でろ過され、尿として排泄されます。

この電離状態のシュウ酸がカルシウムイオンと接触すると、シュウ酸カルシウムという結晶を形成します。
カルシウムと結合は強固であり、シュウ酸カルシウムは難溶性です(シュウ酸ナトリウムは水溶性)。
シュウ酸カルシウムは凝集して結石を形成しやすく、とくに尿路系結石を起こしやすい物質です。

ホウレン草を生で食べると、消化管から吸収されたシュウ酸ナトリウムは、消化吸収され、尿路でカルシウムと結合して結石を生じてきます。

しっかり湯掻いたホウレン草は、蓚酸ナトリウムが溶出して含有量が少ないため、結石症をおこすことはありません。
最近のホウレン草は、シュウ酸ナトリウムの少ない品種に移行しつつあり、生食もできるようになってきていますが、生のホウレン草の多食は注意が必要です。

【追記1:アスコルビン酸過剰内服とシュウ酸の関係】

アスコルビン酸(VitC)を過剰に内服した場合、ほとんどは代謝されず、アスコルビン酸のまま排尿されます。
アスコルビン酸の代謝量は、上限があるため、アスコルビン酸に由来するシュウ酸合成量も上限があります。
VitCをたくさん摂取すると尿路結石になるという都市伝説がありますが、科学的根拠はありません。

【追記2:トロロ芋のシュウ酸カルシウムに関して】

シュウ酸とカルシウムの結合は極めて強いために、シュウ酸カルシウムは水に難溶性です。
トロロ芋に含まれるシュウ酸カルシウムは、針状結晶のため皮膚角質部位に微小外傷を生じ、かゆみ・かぶれの原因となります。
トロロ芋を食べた後、シュウ酸カルシウムは結晶のまま消化管を素通りします。消化吸収はされません。
シュウ酸カルシウムは、皮膚炎を起こすことはありますが、吸収されず排便されるため、尿路結石症とは関係ありません。

2020.05.22 広瀬 久人

copyright FutabaClinic All Rights Reserved