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単独抗原 ポリオ新ワクチン開発断念

不活化導入、数年以上先か?(4種混合へ方針転換)

記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2006年4月3日】

国内唯一のポリオ(小児まひ)ワクチンメーカー、財団法人日本ポリオ研究所(東京都東村山市)が、現行の生ワクチンより安全性が高いとして開発を進めていた不活化ワクチンの製品化を断念し、厚生労働省に提出した製造承認申請を取り下げていたことが1日、分かった。

単独で使うものとして申請していたが、厚労省検討小委員会が世界的に導入が進む4種混合ワクチンとするよう提言したため、それに沿って方針転換した。4種混合の製品化にはあらためて臨床試験(治験)や承認申請が必要で、生ワクチンからの脱却には数年から10年程度かかりそうだ。

1981年以降の国内のポリオによるまひ患者の報告は多い年で数件だが、いずれも毒性を弱めたウイルスを使い口から投与する生ワクチンが原因で起きている。ウイルスの毒性をなくし、免疫をつけるのに必要な成分を使って作る注射液の不活化ワクチンへの切り替えが急務とされている。

同研究所は96年ごろ、不活化ワクチンの本格開発に着手。約100人の子供で治験を実施し、2001年7月に厚労省に製造承認を申請した。

しかし、03年3月に同小委員会が、ワクチンの接種回数を減らして接種率を上げるため、DPT(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)混合ワクチンに、ポリオ不活化ワクチンを加えた4種混合とするよう提言した。

同研究所が予定していた追加の治験実施も難しくなり、製造承認申請を取り下げた。申請書類の不備などで厚労省から治験のやり直しを求められたことも影響した。

同研究所によると、不活化の試作ワクチンを既に国内の複数のDPTワクチンメーカーに提供、4種混合の開発に乗り出している。