ご注意
この文書は 2005年に書かれています。今後、日本の予防接種制度が変わると思います。
この書面中に、将来的の実情にそぐわない記載を認める可能性もございます。
1歳未満のインフルエンザワクチン
1歳未満の乳幼児に対して、インフルエンザワクチン(以後フルワクチン)は有効でしょうか?
厚生労働省 第5回予防接種に関する検討会(H17.2.2)では、1歳未満に対するフルワクチンの有効性に疑問を指摘しています。
同検討会において諮問されたフルワクチンの効果と要点を、以下紹介いたします。
1歳未満の乳幼児に対する予防接種
フルワクチンによる、インフルエンザ感染予防の効果は認められません。感染時のインフルエンザ脳症など、合併症の予防に関しても、フルワクチンは有効ではありません。
1歳未満の予防接種が有用ではない理由について、免疫応答の未熟さ、接種抗原量の不足が指摘されています。
注釈:2011年より小児インフルエンザワクチン接種量が、従来より増量し、世界標準量と同量になりました。予防接種の効果に関しては、今後の追跡調査を待ちたいと思います。
1歳以上の小児に対するフルワクチンの意義と効果
1歳以上の小児に対する有効率は25~30%であり、成人ほど高くありませんが 有効性を認めています。現行のHAワクチンを、現行の接種量で施行する限りは、その効果に限界を認めざるを得ません。
小児がインフルエンザに感染した時、インフルエンザ脳症はワクチンを接種していても防ぐことができません。
注釈:2011年より小児インフルエンザワクチン接種量が、従来より増量し、世界標準量と同量になりました。予防接種の効果に関しては、今後の追跡調査を待ちたいと思います。
高齢者に対するフルワクチンの意義と効果
罹患予防率、重症合併症の発生率、インフルエンザ肺炎の死亡率より、有効性が推測できます。高齢者集団環境においては、フルワクチン接種率を維持することにより、集団内の流行を抑える可能性が指摘されています。
健康成人に対するフルワクチンの意義と効果
高齢者や幼児と比較するとHAワクチンを投与した後の抗体応答、免疫応答が非常に良好あると評価されています。ただし、海外では 健康成人群はハイリスクではないとの理由により、接種の勧奨は行われていません。
以上、平成17年2月2日 厚生労働省 第5回 予防接種に関する検討会 議事録より抜粋しました。
ふたばクリニック 広瀬久人 (2005.09.30)
追記事項
この文書を記載した当時は、下記の様に小児ワクチン接種量が少なかったのですが、2011年度よりWHO推奨量に移行しております。
2010年度以前 インフルエンザワクチン接種量
1歳未満 の乳幼児 0.1ml
1歳 から 6歳未満 0.2ml
6歳 から 13歳未満 0.3ml
13歳以上 0.5ml
2011年度以後 インフルエンザワクチン接種量
3歳未満 の乳幼児 0.25ml
3歳以上 (成人も含む) 0.5ml
前述の”平成17年2月2日 厚生労働省 第5回 予防接種に関する検討会 議事録”は、2010年度以前の接種量をもとに行われたレポートです。
ふたばクリニック 広瀬久人 (2010.05.28)