コッホ現象(BCG予防接種)
BCG接種 新制度に移行
平成17年4月より結核予防法が改正されます。これに伴い、乳児のBCG接種方法が、変更になります。
平成16年度までは、ツベルクリン陰性児(結核感染のない乳児)がBCGの対象でした。
平成17年からは、ツベルクリン反応(以後ツ反)は行わず、BCGを接種いたします。いままでは、ツ反判定に48時間かかっていましたので、新制度では即日ワクチン接種が可能となります。
コッホ現象
1882年 結核菌は、ロバート・コッホ(1843‐1910,細菌学,独)によって報告されました。さらに、コッホは結核感染の病態を研究し、初感染と再感染では、病状の進行に違いがあることを指摘しています。結核・再感染時には、初回に比べて 極めて早期に局所炎症が現れます。これを、コッホ現象と呼んでいます。
コッホ現象による炎症の程度は、一般的には軽症です。しかし、活動性結核感染を有する場合には、かなり強い反応が現れることもあります。
平成17年4月以降は、ツ反を省略してBCGを接種します。このBCGが、結核菌の再感染である場合、コッホ現象を起こしてきます。もし、結核菌に既に感染していた乳児にBCGを接種すると、7日以内(典型的には、第3日目)に注射部位の滲出性(しんしゅつせい)炎症を認めます。
コッホ現象を起こした場合、自然経過で症状は改善します。コッホ現象による皮膚炎は、あまり問題になりません。それよりもコッホ現象を起こした原因に問題があります。
なぜ、BCG接種で早期皮膚反応(コッホ現象)がおきてしまったのでしょうか?
結核感染の可能性は考えられますか?
家族・近親者に活動性結核の方は、いませんか?
安易な自己判断をすることなく、医師による診察を必ず受けてください。
症例検討
以下は想定症例です。実際の症例ではありません。
- 【 症例1 】 生後3ヶ月で、BCG注射を受けました。接種後2週間目から接種部位が赤くなり、3週目に液状の”しみ出し”が始まり、かさぶたになっています。どうしたら、良いでしょうか?
コメント: 通常のBCG接種後の反応です。かさぶたを形成する強い皮膚炎は、1~2ヶ月間持続します。創部を清潔に保ち、経過を観察してください。特にガーゼや絆創膏による創保護は必要ありません。
- 【 症例2 】 生後5ヶ月で、BCG注射を受けました。翌日から赤く腫れ始め、第3日目には かさぶたができています。
コメント: コッホ現象や雑菌による皮膚感染症を考えます。小児科医の診察を受けてください。
ご家族に医療関係者(看護婦・医師・臨床検査技師など)がいる場合や、慢性咳嗽・発熱の患者さんと接触がある場合は、間接的に結核菌に被爆していた可能性があります。医療機関の受診をお勧めします。
ふたばクリニック 広瀬久人