HiB(インフルエンザ菌b型)
乳幼児・重症髄膜炎の病原体に ”インフルエンザ菌b型” があります。
海外で予防接種を受けた場合 ”Hib” と記載されますが、これがインフルエンザ菌b型の略称です。
まぎらわしいのですが、冬季に流行するインフルエンザウイルスとは、まったく関係ありません。
【ご注意】
Hib感染症を ”流行性感冒のような病気” と説明される場合がありますが、実は髄膜炎を起こしてきます。
Hibは、乳幼児期の髄膜炎の起炎菌として重要であり、予防がぜひ必要です。
【インフルエンザ菌:Haemophilus influenzae 】
インフルエンザ菌とは、ヘモフィルス・インフルエンザ桿菌と呼ばれたこともある細菌です。
ウイルスではありません。
髄膜炎・喉頭蓋炎の原因菌です。
しつこいようですが、インフルエンザとは関係ありません。
欧米では、5歳未満の髄膜炎をおこす原因菌の中で、インフルエンザ菌b型は非常に重要な細菌でした。Hibワクチンが実用されてから、髄膜炎の発症は極めて減少しています。
ちなみに、インフルエンザ菌にはa型、c型・・・もありますが、こちらは髄膜炎を起こしにくいため、ワクチン製剤の対象から外されています。
HiBワクチンは、アメリカでは生後2ヶ月の乳幼児から接種が開始され、1~2ヶ月毎に3回接種の後、1歳3ヶ月頃にブースター(追加)接種を行います。乳幼児期に 合計4回接種するプログラムです。
【余談】 2つのインフルエンザワクチン
インフルエンザウイルスは、冬季に流行性感冒を起こす有名なウイルスで、細菌ではありません。日本では、インフルエンザワクチンと言えば、インフルエンザウイルスに対するワクチンですが、アメリカではインフルエンザのワクチンが2種類あることになります。
誤解を避けるために、インフルエンザ菌b型に対して ”Hib Vaccine”、インフルエンザウイルスに対して ”Flu Vaccine” と呼んで、区別しています。
ちょっと気になった問い合わせを、説明させていただきます。
Q:髄膜炎菌のワクチンを受けたいのですが・・・
A:Hib(Haemophilus influenzae type b)は髄膜炎の原因の一つですが、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)とは異なる病原体です。
”髄膜炎菌ワクチン”は、”Meninngococcal Vaccine”のことです。
HiBワクチンとは異なるワクチン製剤です。
HiBワクチンと髄膜炎菌ワクチンの対象年齢も異なります。
Hibは5歳未満を対象に考えます。
髄膜炎菌ワクチンは、3歳から接種可能ですが、就学児以上を一般的に対象とします。
Q:アメリカに転居予定です。Hibが未接種ですが・・・
A:5歳未満の場合は、渡米後にHiBワクチンを接種可能です。
日本国内では自費接種となりますので、転居先での対応を お勧めいたします。
5歳以上の場合は、HiBワクチンの接種対象年齢ではありません。
Q:Hibワクチンを受けていますが、インフルエンザに効果ありますか?
A:インフルエンザには効果ありません。
Hibとインフルエンザウイルスは、まったく異なる病原体です。
冬季の流行性感冒には、流行前に毎年インフルエンザワクチン(Fluワクチン)を接種する必要があります。
Q:インフルエンザ予防接種は、A型とB型両方受けるんですか?
A:HiBとFluワクチンを混同した勘違いのようですね。
★ HiBワクチンは、b型のみ対象としています。インフルエンザ菌a型は病原性が低く、予防接種を必要としません。
★ インフルエンザウイルスワクチンは、A型2種類、B型2種類のウイルス株から製造されております。A型・B型いずれにも対応しています。
ふたばクリニック 広瀬 久人 (2005.05.30)