コラム

登園・登校/出席停止期間のめやす

乳幼児・児童は、病原体に対して免疫の不充分な状態にあります。免疫的弱者で構成される小児集団環境では、流行性疾患が急速に拡大します。特に伝染力の強い場合、感染可能な病態で不用意に通学すると、登校で施設内流行が蔓延してしまいます。

患児の早期回復のために、自宅内安静(出席停止)を守ることは、治療・療養の基本であり、集団生活におけるマナーでもあります。出席停止期間のガイドラインから、基本事項をまとめてみました。(引用元のガイドラインは、このページの下に記載しました。)

治療方法の選択や病態によっては、出席停止期間が実際と異なる場合もございます。下記日数は参考例として、出席判断の参考にしてください。

出席停止日数の目安

小中高児童生徒 発症後5日を経過し、かつ下熱後2日間
幼稚園・保育園 発症後5日を経過し、かつ下熱後3日間
  • みずぼうそう
    すべての発疹が、瘡蓋(かさぶた)になるまで(約1週間)
  • 麻疹・はしか
    解熱した後 3日を経過するまで
  • 風疹
    発疹が消失するまで
  • 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
    耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日間を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
     
    【付記:流行性耳下腺炎に関して】
     通常経過の流行性耳下腺炎における耳下腺、顎下腺又は舌下腺の”腫れ”については、最初の”腫れ”が発現した日を起点に数えます。
     発症数日後に、他方の耳下腺が腫れたり、顎下腺・舌下腺が脹れた場合でも、最初の”腫れ”が出現した日を起点にします。
  • 咽頭結膜熱
    発熱・結膜炎が消退した後 2日を経過するまで
  • 百日咳
    特有の咳が消えるまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで(約7-10日間)

学校保健安全法施行規則(H24.4一部改正)に定められていない疾患の場合

  • ヘルパンギーナ
    解熱した後 1日を経過するまで
  • 溶連菌性咽頭炎
    抗生剤治療を開始して24時間が経過し、解熱するまで
  • 手足口病
    解熱した後 1日を経過するまで
  • りんご病・伝染性紅斑
    ”顔の赤み”が出現した後、感染性はありません。
    発疹が出現する以前に数日間だけ感染期間がありますが、通常の診察での判断は非常に困難です。
  • マイコプラズマ肺炎
    適切な抗生剤治療を開始して3日が経過し、症状が改善するまで
  • 突発性発疹
    ”全身の発疹”が出現した後、感染性はありません。
    発疹が出現する以前に数日間だけ感染期間がありますが、通常の診察での判断は非常に困難です。
  • とびひ・伝染性膿痂疹
    ガーゼ等で、皮疹部がきちんと創保護されていれば、出席可能です。
  • 水イボ・伝染性軟属腫
    通学・登園は可能です。水遊び禁止の必要はありません。遊具や肌の接触、タオルの共有で感染する場合がありますので、ご注意ください。

付記

参考省令・ガイドラインに関して

学校保健安全法施行規則を一部改正する省令(平成24年4月)

保育所における感染症対策ガイドライン(平成21年8月)

「学校保健安全法が、出席停止日数を規定している」と誤解される傾向がありますが、日数までは決められておりません。

学校保健安全法は、「学校長が発する出席停止処置の根拠」となっています。(学校保健安全法・単独では、対象疾患の規定は、ありません。)

この『法律』に付帯する『施行規則』によって、出席停止の対象疾患が具体的に指定されています。
また、施行規則に明記のない疾患でも、「感染予防対策上出席停止が必要と学校長が判断した場合」も、同様の対応です。(医師の診断書や意見は、あくまで参考にすぎません。出席停止の判断は、学校長の権限です。)

登校再開の条件は、他者への感染可能性が消失した場合と規定されており、特に日数の規定はありません。(各症例によって、同じ疾患でも、出席停止日数の判断が異なる場合がございます。)