ふたばクリニック 内科・小児科

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ホーム > コラム > 国産ポリオ不活化ワクチンの最期/1961年

コラム

国産ポリオ不活化ワクチンの最期/1961年

  • ポリオワクチンの開発の経緯
  • 1950-60年 日本におけるポリオの状況と マスコミ報道
  • 政治判断で導入されたポリオ生ワクチンが、定期予防接種に
  • 2009年新型インフルエンザと比較して
  • 遅れてしまった、日本のワクチン行政/予防接種システムに関して
ポリオワクチンの開発の経緯

ポリオワクチンは、ソーク株を利用した不活化ワクチン(注射)が、1950年代にアメリカで実用化されます。
ただし、当時の不活化ワクチンの免疫持続期間が やや短いために、生ワクチン(経口)も実用化に向けた研究が続きます。アルバート・セイビン、ヒラリー・コプロフスキー、ヘラルド・コックスの3人が、ほぼ同時期にポリオ生ワクチンの開発に成功しました。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、生ワクチンの承認を 1製剤 に絞る予定でした。熾烈な開発競争の末、セイビン株がワクチン株として、NIHにより承認されます。

このような経過の後、ソーク株とセイビン株は、覇権をかけて、市場を争うことになります。ちなみに、ワクチン開発者のソーク、セイビンいずれも、ポリオワクチン製造に際してパテント料をとることはありませんでした。 

ワクチンの製剤料金は、生ワクチンの方が格段に安いために、ポリオ不活化ワクチンは、営業的には 不利な面もありました。当時の不活化ワクチンは、生ワクチンに比べると、有効率が低い という欠点もありました。

しかし、不活化ワクチンの最大のメリットは、VAPP(ワクチン関連ポリオ麻痺)が起きないことです。

1950-60年 日本におけるポリオの状況と マスコミ報道

1950年代日本では、ポリオが各地で散発する状況でした。もともとポリオは、下痢を主症状とする ”おなかの病気” です。ただし、ポリオの発熱・下痢の後で、ある程度の確率(1~0.1%)で、麻痺を合併します。ポリオは、春から夏にかけて自然増加し、夏から秋にかけて自然減少する傾向があります。

1950年代後半に、日本もアメリカから不活化ワクチン(注射)の輸入を開始し、さらに1960年ソーク株を用いた不活化ワクチンの国内生産を開始しております。

1961年、国産ポリオ不活化ワクチンは検定不合格のため、ポリオワクチン製剤が不足する事態に陥ります。

1961年、ポリオ不活化ワクチンの不足に合わせるかのように、某テレビ局が”ポリオ根絶キャンペーン”を行います。

春から初夏にかけてポリオ患者が自然増加する時期に、全国の支社を動員して発症者数を集計し、ニュースに取り上げていきます。マスメディアの報道が危機感を増幅してしまいました。

さらに前記のとおり、この年はワクチン検定不合格により、ポリオ不活化ワクチンの供給量が絶対的に足りない状況にありました。

国民全体に 大きな危機感が膨らみます。”ポリオ撲滅キャンペーン”により、ワクチンが一気に枯渇してしまい、新しいパニックを誘導します。

1961年6月下旬、国民の強いワクチン要望に対して、生ワクチンの緊急輸入を政府が政治判断します。それも、1300万人分・・・5歳以下の小児(流行地では9歳以下)を中心に一斉投与を行うという、極めて感情的な手段を選択しました。なぜ、不活化ワクチンの輸入ではなかったのか、強い疑問が残ります。

ポリオ自然発症数は、春から増加が始まり、7月頃にピークを迎えます。一斉投与された時期と、自然ポリオ発症のピークが重なり、ポリオ発症数は その後減少へと転じます。

ポリオ生ワクチン投与により、抗体が上昇するのは 3~4週後です。ワクチン一斉投与に1ヶ月以上かかります。ワクチンの効果が浸透し集団発生を抑制するまでに、さらに1-2ヶ月が必要です。投与開始月より発症数が減少していますが、自然減少と考えた方が合理的です。

以後 日本は、ポリオ生ワクチンによる定期予防接種へと移行していきます。当然、立ち上がったばかりの 国産ポリオ不活化ワクチンは、製造中止となりました。あっけない最期です。ポリオ根絶キャンペーンで、まず最初に消えたのは、国産不活化ポリオワクチンでした。

政治判断で導入されたポリオ生ワクチンが、定期予防接種に

1961年既に、国産不活化ワクチン製造の技術は確立されていました。検定率向上も数年で、解決できる状況にあったわけです。しかし、突然のポリオ対策方針変更のため、当時のワクチン製造業者は、梯子を外される形で、不活化ワクチンの製造技術も途絶えてしまいます。

1961年のテレビキャンペーンは、国民感情を背景とした政治的な圧力となりました。世論の誘導を目的とするキャンペーンは、報道の領域から大きく逸脱しています。その後の経過を考えてみると、報道の倫理性にきわめて大きな問題があると思われます。

当時、あと1年の時間的余裕がポリオ不活化ワクチンにあれば、マスコミキャンペーンに左右されることなく、国産不活化ワクチンによるポリオ対策が貫かれていたことと思われます。

ちなみに、当時 ”梯子を外された” ワクチンメーカーが共同して作った組織が、日本ポリオ研究所であり、以後日本の”経口ポリオ生ワクチン”を独占的に供給・販売してきました。

ふたばクリニック 広瀬久人 (2010.10.10)

・・・以下余談・・・ちょっと、視点を変えて・・・

2009年新型インフルエンザと比較して

1961年のポリオ と 2009年新型インフルエンザ を比較してみると、大変興味深いと思います。

2009年新型インフルエンザは、同年5月に日本で確認され、その後増加の一途をたどります。10月にピークを迎え、11月には減少してしまい、12月には急速に終息に向かいます。

新型インフルエンザワクチンは、10月下旬に接種開始されましたが、供給量が少なく10月に接種した人はほとんどいません。実際は11月になってから、一斉投与された形です。

ピークを過ぎた後の供給時期と、ワクチン供給体制の不備が重なって、新型インフルエンザワクチンの恩恵を感じた人は少ないと思います。

1961年ポリオ生ワクチンが7月という時期に一斉投与されたことが、ポリオの自然発生数のピークと重なっています。投与後に発症数は、みるみる減少していきます。当り前のことですが、当時の国民と厚生省に強いインパクトを与えました。

ポリオ生ワクチンの一斉投与があと2カ月開始が遅れていたら、おそらく・・・ポリオ生ワクチンに対して過度な信頼は得られなかったことと思います。

遅れてしまった、日本のワクチン行政/予防接種システムに関して

1961年、テレビ局のキャンペーンが火を点けたポリオ騒動は、当時の政府を動かす力がありました。ポリオ生ワクチンの一斉投与は、政治的な判断で決まります。
当時、国内で不活化ワクチンを開発してきた人たちがいます。厚生省のチームや、国産ワクチンメーカー、感染症対策協議会です。わずか数ヶ月のマスコミキャンペーンによって、実用化したばかりの不活化ワクチンは、そのまま封印されることになります。

夕食を準備していたら、突然来訪した祖父が ”ファミレスに行こう” と言ったようなものです。子ども達は、大喜びで夕食に出かけていきますが、準備をしていた母の気持ちは いかがなものでしょうか?

当時の厚生省の担当部署内のモチベーションは、極めて低いものになってしまいます。その後、予防接種事業に対して腰が引けていきます。消極的に見える態度が、いかにも”お役所”的な対応に見られがちで、特にDPTやMMRのトラブル時の姿勢は、国民感情に不快感を与えてしまいました。

その後の経緯は・・・ずるずるとワクチン後進国に後退していきます。2010年 不活化ポリオワクチンの国内導入へむけて、方向性が明確に示されました。世界で初めてポリオを根絶した日本で、ポリオワクチン関連麻痺(VAPP)が依然発生している状況を、きちんと考えなくてはいけません。

ポリオ不活化ワクチンは、基礎接種3回と追加接種1回の合計4回を標準とします。DPT、Hib、PCVも同じ接種プランとして重なります。予防接種の煩雑性を回避するためにも、多剤同時接種の理解を保護者の皆様にご理解いただくことが必要となります。母子手帳の予防接種欄も、改訂しなければ対応できません。
日本の予防接種制度の遅れ・・・ワクチンギャップに、多くの国民が気付き始めています。東南アジア諸国に完全に遅れをとっている現状に、驚いている方も多いと思います。(2010年現在)

しかし、国際化が進む時代に、海外留学・海外転校時に、大量のワクチンを追加接種しなければならない状況は、あまりにも理不尽です。

今後、日本の定期予防接種制度は、大きく変化していきます。聞き覚えのない予防接種も突然要請されるかもしれません。ただ、ワクチン名を知らないのは日本人だけで、他国の子どもたちは日常として接種されている現実を、きちんと考える時期が来ていると思われます。

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